庭にサンルームを作って、優雅にティータイムを楽しみたい。
雨の日でも洗濯物が干せるスペースが欲しい。
そんな憧れを持って設置したはずなのに、数年後に「やっぱりいらなかった…」と後悔する施主様が後を絶ちません。 ネットで検索しても「サンルーム 後悔」「いらなかった」というネガティブなキーワードがたくさん出てきます。
なぜ、せっかく安くないお金をかけて作ったのに、邪魔者扱いされてしまうのでしょうか? その最大の理由は、「サンルーム=部屋(リビングの延長)」だと思って設置してしまうからです。
この記事では、サンルームの「温度」「税金」「法律」に関するシビアな現実を、サッシ屋の視点で解説します。
理由①:気密性は低いのに「夏はサウナ、冬は極寒」
まず、最も多い後悔の理由が暑すぎて(寒すぎて)人間がいられないというものです。
憧れのティータイムは春と秋だけ
多くの人がイメージするサンルームは、リビングの延長としてくつろげる空間です。 しかし、一般的なサンルーム(テラス囲い)は、断熱材が入っていないアルミの柱と、薄い単板ガラスで構成されています。
- 夏場: 直射日光で温室効果が発生し、室温は40℃〜50℃を超えます。エアコンなんて効きません。そこは部屋でなく灼熱のサウナです。
- 冬場: 外気の影響をモロに受けます。夜になれば外と同じくらい寒くなり、朝は窓ガラス一面が結露でビチャビチャになる可能性も高いです。
「ここでお茶を飲もう」と思って設置した人は、この過酷な温度環境に耐えられず、結局使わなくなって「いらなかった」という後悔する結論に至るようです。
理由②:固定資産税が毎年かかってくる

ここは非常に重要なお金の話です。意外と知られていませんが、サンルームを設置すると固定資産税が上がります。
3方を壁で囲うと「家」とみなされる
日本の法律では、以下の3つの条件を満たすと「建物(家屋)」として扱われ、課税対象になります。
- 屋根がある
- 3方向以上が壁やガラスで囲われている
- 基礎などで土地に定着している
サンルームはこれにバッチリ当てはまります。 つまり、サンルームを設置することはリフォームではなく「増築」扱いになるのです。 自治体の調査が入れば、床面積に応じて固定資産税が加算されます。 「たかが数千円」と思うかもしれませんが、使っていないサウナ状態の部屋に、これから何十年も税金を払い続けるのは、精神的にも「いらなかった」と感じる大きな原因になります。
理由③:法律の壁「建ぺい率」オーバーのリスク
税金以上に怖いのが、建築基準法に関わる建ぺい率(けんぺいりつ)の問題です。
勝手に建てると「違法建築」になる?
すべての土地には、「敷地に対してこれくらいの面積まで建物を建てていいですよ」という限界値(建ぺい率)が決められています。 例えば、建ぺい率60%の土地で、すでにギリギリの大きさで家を建てている場合、そこにサンルーム(増築)を足すと、面積オーバーで「違法建築」になってしまいます。
- 将来のリスク: 家を売却しようとした時に「違法建築物」扱いされ、買い手がつかなかったり、銀行の融資が通らなかったりする可能性があります。
- 確認申請のコスト: 本来、10平米を超える増築(防火地域等は1平米でも)を行う場合は、役所に「建築確認申請」を出す必要があり、これだけで10万円〜20万円の手数料がかかります。
「庭が空いているから置いてもいいだろう」と安易に考えると、法的なトラブルに巻き込まれる可能性があるのです。
理由④:結局「物置」か「高級な乾燥室」になる
温度管理が難しく、くつろぐこともできない。 そうなると、サンルームの末路はどうなるでしょうか。
- パターンA: 使わなくなった子供の自転車や、スタッドレスタイヤ置き場(物置化)。
- パターンB: 洗濯物干し専用スペース。
「洗濯物が干せるならいいじゃないか」と思われるかもしれません。 確かに、PM2.5や花粉を気にせず干せるのはメリットです。 しかし、単なる物干し場のためだけに、50万円〜100万円の工事費と、毎年の固定資産税を払う価値があるのか? ここで多くの人が「もっと安くていい方法があったんじゃないか?」と後悔するのです。
【プロの代替案】洗濯干しなら「テラス屋根+パネル」で十分

「サンルームはいらなかった」と後悔している人の多くは、実はテラス屋根で事足りていたケースがほとんどです。
もしあなたの目的が「洗濯物を雨から守りたい」「外からの視線を遮りたい」だけであれば、壁で囲うサンルームではなく、以下の組み合わせを検討してください。
最強のコスパセット:「テラス屋根」+「前面パネル」
これは、建物の壁に屋根(テラス屋根)を取り付け、雨が吹き込まないように正面や側面に「パネル(壁)」を付けるだけのシンプルな構造です。
- メリット1:風が通るから洗濯物が乾く サンルームは密閉されているため、風がなく、夏場は湿気がこもって乾きにくいことがあります。 しかし、テラス屋根なら足元や側面が開いているため、自然の風が通り抜けます。洗濯物は「熱」よりも「風」で乾くので、乾燥効率はこちらの方が上です。
- メリット2:固定資産税がかからない(場合が多い) 自治体によりますが、一般的に「3方向以上を壁で囲まれていない(外気分断性がない)」構造物は、家屋(建物)として認定されません。 つまり、屋根とパネルだけなら、固定資産税の対象外になる可能性が高いのです。 (※最終判断はお住まいの自治体にご確認ください)
- メリット3:費用が圧倒的に安い サンルーム(テラス囲い)に比べて、部材が少ないため、工事費込みでも半額近くで設置できることもあります。
「部屋」としての機能は諦めることになりますが、洗濯干し場としてはサンルーム以上のパフォーマンスを発揮します。
それでも「サンルーム」が必要なのはこんな人

ここまでサンルームのデメリットや代替案を話してきましたが、もちろんサンルームが「絶対に必要」なケースもあります。 以下の目的であれば、税金や温度のリスクを背負ってでも設置する価値があります。
1. 花粉・PM2.5・黄砂を完全にシャットアウトしたい
テラス屋根では、どうしても風と一緒に花粉や砂埃が入ってきます。 重度の花粉症の方や、PM2.5が気になる地域(福岡など)にお住まいの方にとっては、密閉できるサンルームは「聖域」になります。 外気を完全に入れないことで、安心して洗濯物を干せるのは大きなメリットです。
2. ペット(犬・猫)の専用スペース
室内飼いのペットにとって、サンルームは最高の日向ぼっこスペースになります。 脱走防止にもなりますし、リビングと繋げておけば、ペットの遊び場として活用できます。 ただし、夏場は猛暑になるため、必ずエアコンや換気扇、遮熱カーテンなどの暑さ対策を万全にしてください。
3. 冬場の「補助暖房」として使う
サンルームは夏暑いですが、冬の晴れた昼間はポカポカと暖かくなります。 この暖かい空気をリビングに取り込むことで、暖房費を節約する「パッシブソーラー」のような使い方ができます。
まとめ:目的を「洗濯」に絞れば、最高の投資になる
今回は「サンルームはいらなかった」という後悔の理由と、その対策について解説しました。
最後に、サッシ屋としてのアドバイスをまとめます。
- 「リビングの延長」だと思わないこと 安価なサンルーム(テラス囲い)で、優雅なティータイムは過ごせません。夏は暑く、冬は寒いです。
- 「洗濯干し場」ならテラス屋根も検討を 風通しが良く、税金もかかりにくい「テラス屋根+前面パネル」の方が、コスパが良い場合が多いです。
- 設置するなら「覚悟」を決める サンルームを選ぶなら、固定資産税の増加や、夏場の暑さ対策(日除け・換気扇)にかかる費用も予算に組み込んでください。
なんとなく便利そうで設置するのが一番危険です。 自分の生活スタイルに本当に必要なのは「部屋(サンルーム)」なのか、それとも「屋根(テラス)」なのか。 じっくり比較検討して、後悔のない選択をしてください。

