「玄関を開けて風を通したいけれど、虫が入ってくるのが嫌だ」 「ホームセンターで網戸キットを見たけど、うちの玄関に付くのか不安…」
夏の蒸し暑さや、梅雨時のジメジメ対策として「玄関網戸」の需要は年々高まっています。 玄関に網戸を後付けすれば、家中の換気効率が劇的に上がり、エアコン代の節約にもつながります。
しかし、安易にDIYで設置しようとして買ってから取り付けられないことに気づいたという失敗談が後を絶ちません。 その最大の原因は、ドアの上についているドアクローザー(四角い箱)の存在です。
この記事では、サッシ屋として数多くの現場を見てきた私が、失敗しないための後付け網戸の種類の選び方と、プロが愛用する「間違いのない製品(LIXIL・セイキ販売)」について、忖度なしで解説します。
玄関に網戸を後付けするメリットは「家の呼吸」を変えること
種類の説明に入る前に、なぜこれほどまでに玄関網戸が選ばれているのか、そのメリットを整理しておきましょう。 単なる「虫よけ」以上の効果があります。
効率よく換気ができる(風の通り道を作る)
家の中の空気は、入口と出口がないと動きません。 最近の住宅は気密性が高いため、リビングの窓を開けるだけでは空気が淀んだままになりがちです。
そこで玄関に網戸を設置し、玄関ドアを開放してみてください。 玄関(入口)からリビングの窓(出口)へと、一直線に風の通り道が生まれ、驚くほどの勢いで家中の空気が入れ替わります。 この通風効果こそが最大のメリットです。
エアコン代の節約とニオイ対策
春や秋、そして夏の朝夕など、外気が涼しい時間帯なら、エアコンを使わずに網戸だけで快適に過ごせます。電気代高騰の今、自然の風を活用できるのは大きな節約になります。 また、靴のニオイや湿気がこもりやすい玄関エリアを常に換気できるため、カビの発生を抑え、帰宅時の「モワッとした不快感」を解消できます。
【種類別】あなたに合うのはどれ?プロが推奨する3つの選択肢
一口に玄関網戸といっても、ホームセンターで売っている簡易的なものから、防犯性の高いものまで様々です。 ここでは、我々プロがお客様に提案する際、これを選んでおけば間違いないと自信を持って推奨する3つのタイプと具体的製品を紹介します。
①【横引きロール網戸】スッキリ収納で一番人気
推奨製品:LIXIL「しまえるんですα」など
現在、最もスタンダードで人気があるのがこのタイプです。 使わない時は、網(ネット)が縦枠の中にクルクルと巻き取られて収納されます。
- メリット:
- 見た目が良い: 開けている時は網戸の存在感が消えるため、玄関のデザインを損ないません。
- 掃除が楽: 網がフラット(平ら)なので拭き掃除がしやすく、LIXILのしまえるんですαなら、工具なしで本体を丸ごと取り外して水洗いできます。
- バリアフリー: 下のレールが非常に薄い(または無い)ため、つまずく心配がありません。
「迷ったらこれ」と言える、機能と価格のバランスが取れた優等生です。
②【プリーツ網戸】デザイン性と対応力の高さ
推奨製品:セイキ販売「アルマーデ」シリーズなど
網がアコーディオン(蛇腹)状に折りたたまれて収納されるタイプです。 このジャンルのパイオニアであるセイキ販売の製品が有名です。
- メリット:
- デザイン性: プリーツの折り目が美しく、インテリアのような雰囲気があります。
- 風の調整: 途中で止めることができるため、少しだけ開けておきたい時などに便利です。
- サイズ対応力: ドアクローザーを避けるための部材や、様々な玄関枠に対応するオプションが豊富で、どんな玄関にも取り付けやすいのが特徴です。
ただし、プリーツ(折り目)部分にホコリが溜まりやすく、ロール網戸に比べると掃除に少し手間がかかる点は知っておいてください。
③【中折れ網戸・ルーバー網戸】防犯とペット対策に
推奨製品:各社 金属製中折れ網戸
上記2つはネット(網)ですが、これは金属製の扉です。 お風呂のドアのように真ん中で二つ折れになって開閉します。
- メリット:
- 防犯性が高い: 鍵をかけられるため、網戸のまま夜間も安心して過ごせます。
- ペットに強い: 金属製の網やルーバー(羽板)でできているため、猫や犬が引っ掻いても絶対に破れません。
- 目隠し効果: ルーバータイプなら、風を通しつつ外からの視線を遮ることができます。
「頑丈さ」は最強ですが、その分価格は高くなり、取り付け工事の難易度も上がります。
【重要】DIYで取り付ける際の「3つの壁」と費用相場

「ホームセンターでキットを買えば安く済むのでは?」
そう考えるのは自然なことですが、玄関網戸のDIYは、棚を組み立てるのとは訳が違います。
購入してから「うちには付かない!」と絶望しないために、立ちはだかる3つの壁を知っておいてください。
壁①「ドアクローザー」が邪魔をする
これが最大の難関です。
玄関ドアの上部内側には、ドアがバタンと閉まらないようにする「ドアクローザー」という四角い箱とアームが付いています。
網戸を設置する際、この箱が出っ張っているため、そのままでは網戸の枠が取り付けられません。
この出っ張りを避けるために、素人の方には少々ハードルが高い付属品の加工や別途部材を用意し、計算して取り付けなければならないのです。
この箱の厚みは何センチで、網戸のレール位置を何センチずらせば干渉しないか?
この計算を間違えると、網戸が閉まらないか、隙間だらけになります。
壁②「金ノコ」での切断作業
市販のDIY用網戸キットの多くは、「高さ180cm〜200cm対応」といった具合に、大きめのサイズで売られています。
つまり、自分の家の玄関高さに合わせて、アルミの枠を金ノコで切断するという作業が必須になります。
アルミは硬いですし、切断面が斜めになったり、長さを数ミリ間違えたりすると、その時点でアウト(取り付け不可)です。
「日曜大工で木材を切るのとはワケが違う」と心して作業をすすめましょう。
壁③ 賃貸物件の「ビス穴」問題
本格的なロール網戸やプリーツ網戸は、基本的にドア枠に「ビス(ネジ)」を打ち込んで固定します。
持ち家なら問題ありませんが、賃貸物件の場合は退去時に原状回復費用を請求されるリスクがあります。
賃貸の場合は、突っ張り棒タイプや、粘着テープで固定する簡易的なカーテンタイプ(耐久性は劣ります)を選ばざるを得ないケースが大半です。
費用比較(DIYキット vs プロ施工)
苦労してDIYするのと、プロに丸投げするのと、実際どれくらい金額が違うのでしょうか?
一般的なロール網戸(片開き仕様)で比較してみましょう。
| 比較項目 | DIY(キット購入) | プロに依頼(工事費込) |
| 費用目安 | 2.5万円 〜 3.5万円 | 4.5万円 〜 6.5万円 |
| 製品の質 | 汎用品(カットが必要) | メーカー純正(オーダー寸法) |
| 仕上がり | 腕次第(隙間ができる可能性大) | 完璧(隙間なし・スムーズ) |
| 所要時間 | 半日〜1日(買い出し含む) | 1時間〜2時間 |
| 保証 | なし(失敗したらゴミ) | あり(施工保証など) |
差額は「約2万円〜3万円」です。
この差額を「高い」と感じるか、「失敗のリスクと半日の重労働を回避できるなら安い」と感じるかです。
サッシ屋としての本音を言えば、長く使う設備ですので、プロに任せて「LIXIL しまえるんですα」や「セイキ販売 アルマードⅢ」などの高品質な製品を、完璧な寸法で取り付けてもらう方が、結果的なコスパ&満足度は高いと言えます。
玄関網戸の後付けに関するよくある質問

最後に、お客様から現場でよく聞かれる質問にお答えします。
Q. 掃除やメンテナンスは大変ですか?
種類によります。
今回推奨したLIXILの「しまえるんですα」であれば、本体を工具なしでカチャッと取り外すことができます。
年末の大掃除の時などに、庭やお風呂場に持って行って、シャワーで丸洗いできるので非常に衛生的です。
プリーツ網戸(アコーディオン)は構造上丸洗いが難しいため、掃除機やハタキでのメンテナンスが主になります。
Q. 防犯上の心配はありませんか?
一般的なロール網戸やプリーツ網戸のネットは、カッターナイフなどで簡単に切れてしまいます。
あくまで「在宅時・換気用」として使い、夜間や外出時は必ず玄関ドア本体の鍵を閉めてください。
もし「網戸のまま寝たい」という場合は、記事前半で紹介した「鍵付きの中折れ網戸(金属製)」を選ぶ必要があります。
まとめ:長く使うなら「ロール網戸」をプロにつけてもらうのが正解
玄関に網戸がつくと、家の中に「風の通り道」ができ、生活の快適さが劇的に向上します。
- 見た目と掃除のしやすさなら:LIXIL「しまえるんですα」などの横引きロール網戸
- 特殊な納まりやデザイン重視なら:セイキ販売「アルマーデ」などのプリーツ網戸
- 防犯・ペット重視なら:金属製の中折れ網戸
これらを基準に選んでみてください。
そして、もしDIYに少しでも不安があるなら、無理せず地元のサッシ屋やリフォーム店に相談してください。
ドアクローザーや寸法の問題をプロの技術でクリアし、隙間のない美しい網戸を取り付けてくれるはずです。
今年の夏は、玄関からの心地よい風で、涼しく快適に過ごしましょう。


