ガラスの修理を専門に行っていると、住宅の窓ガラスにはある程度決まったガラスが使用されている事が理解できます。もちろん「へ~珍しいガラスもあるものだな~」と思う事も年に1~2度はありますが、基本的には種類はほぼ決まっています。
大きく区分けするならば、戸建て住宅の窓で使用されているガラスと、マンションで使用されている窓ガラスに分ける事が出来ます。
具体的には、網入りガラスを想定しているのですが、戸建て住宅の窓に網入りガラスが使用されている割合は少なく、逆にマンションでは網入りガラスが使用されている割合が高くなると言う事です。
本日は、窓ガラスの種類や、使用されている場所、ガラスの厚みのついて説明して行きたいと思います。
窓ガラスの種類
まずは、一般的に使用される窓ガラスの種類一覧をご覧下さい。厚みは住宅用として使用されている事の多い厚みを掲載しています。他の厚みもありますのでご了承下さい。
窓ガラスの種類は上記の一覧表で記載している11種類が主に使用されています。実際のガラス画像と共に、主な使用場所や、ガラスの厚みについて説明して行きますね。
透明ガラス
最もオーソドックスなガラスの1つでもある透明ガラスです。フロートガラスとも言われるガラスで、使用場所は、リビング、出窓、中窓、小窓など多くの場所で使用されます。
厚みは、3mmもしくは5mmが窓ガラス用として良く使われていますが、2mm透明ガラスもあります。2mmの透明ガラスの場合は室内建具に入っている事が多く「雪見障子」のガラスとして見かける事が多いです。
型板ガラス
当社のガラス修理の現場写真なのでちょっと割れてしまっていますが、これが型板ガラスと言われるガラスです。透明ガラスと共にガラス屋としても最もオーソドックスなガラスです。もちろんですが、お客様はガラスに詳しい方が少ないので、この型板ガラスの事を「スリガラスが割れた」と仰るケースも多々あります。あとは表面がデコボコしてて、反対側がツルツルした肌触りのガラスと表現される事も多いです。
使用場所はリビング掃き出し窓の下半分。居室の窓ガラス、小窓、など多くの所で使用されます。反対側が見えにくいので、お風呂のガラスや室内の間仕切り建具にも使用されています。経験則ではありますが、透明ガラスよりも使用されている場所は多いと思います。
ガラスの厚みは4mmが最も多いです。中には6mmもありますが、6mmが使用されているケースは少々レアです。
スリガラス
スリガラスは一般の住宅ではあまり使用されていません。殆どが団地のガラスとして採用されています。中には築年数の古いビルや工場などでも見かけますが、最近の新築で使用されるケースは基本的にないのではと思います。色は乳白色ですが、古いスリガラスは手垢で白っぽい色が薄れている事が多いです。外側はツルツルした透明ガラスと同じ肌ざわりとなります。
使用されている場所は団地リビング窓の下半分。または団地の居室ガラスの中窓下部分です。厚さは3mmの物が殆どです。
網入りガラス
網入りガラスには透明網入りガラスと型板網入りガラスがあります。
【透明網入りガラス】
【型板網入りガラス】
網入りガラスは防火地域・準防火地域の防災設備として使用される事があります。ガラスが割れた場合でも網がガラスの飛散を軽減させるのでマンションなど不特定多数の人が暮らす建物で使用される事が多いです。厚みは6.8mmが標準で、高層マンションでは10mmの網入りガラスも採用されます。網の入り方が3パターンあり、写真はヒシ型タイプですが、縦ワイヤータイプやクロスワイヤー(碁盤の目)タイプもあります。
複層ガラス
【ペアガラス】
ペアガラスの内部結露でガラスを新しく取替える現場写真です。新しいペアガラスは下記の写真です。
ペアガラスは、戸建て住宅で多く使用されています。断熱性能を高める目的やガラスの結露防止にも一役買います。防音効果や防犯効果も期待できますのでマルチプレイヤーとして人気の商品です。
使用されている場所は、特に限定されません。リビングの掃き出し窓から中窓、小窓、すべり出し窓、FIX窓と住宅のあらゆる箇所に使用されます。
ガラスの厚みも3mm+空気層+3mm、や3mm+空気層+4mmがオーソドックスではありますが、網りガラスがペアガラスの構成に組み込まれる事もあります。
当社で行ったFIX窓のペアガラス交換です。ガラスの厚みは3mm+空気層+網入りガラス6.8mmでした。
当社が福岡県のガラス業者になりますのでトリプルガラスの施工実績はありません。トリプルガラスは寒い地域(北海道や東北)で普及が進んでいる商品です。ガラスの構成が3枚のガラス+2重の空気層になりますので断熱性能などより高い機能性を有します。
合わせガラス
【防犯ガラス】
防犯ガラスの写真です。ガラス構成や特徴については、次に項目で詳しく解説していますが、防犯ガラスはその名の通り防犯性に特化したガラスになります。使用場所としては外部から侵入の恐れがある窓ガラスに取付けます。
【防音ガラス】
使用される場所は、幹線道路沿いで騒音のうるさい場所、ピアノや楽器を演奏する様な場所になります。
ガラスの構成について
窓ガラスには構成と言う用語があります。1枚のガラスのものは単板ガラスと言い、従来の住宅で使用されている窓ガラスです。この記事を執筆している2022年の9月時点で普及している窓ガラスの中では最も多くの割合を占めるガラスと思われます。一方で、最近の住宅窓ガラスは、複層ガラスがメインに採用されています。国が進めるカーボンニュートラルの観点から、今後ますます断熱性の高い住宅が優遇されシェアを拡大すると予測されます。近い将来には複層ガラス以上の性能を有した窓ガラスを採用しないと建築許可が難しくなる可能性もあり、単板ガラスから複層ガラスへの転換期を迎えつつあるといえます。窓ガラスの種類については、画像と共に一通り説明しましたが、こちらの項目では、さらに掘り下げて複層ガラスと合わせガラスについて説明したいと思います。
複層ガラスとは?
単板ガラスが1枚の板であるのに対して、複層ガラスは1枚以上のガラス構成となります。ペアガラスと言われるガラスも複層ガラスの分類に入ります。ペアガラスは2枚構造のガラスの事です。
そしてその、2枚のガラスの1方に金属のコーティングを施した商品をLOW-Eガラスと言います。ペアガラスよりもさらに断熱・遮熱性を高めたガラスです。
東北地域の寒いエリアではトリプルガラスと言われる複層ガラスも人気がある様です。ペアガラスよりもさらに断熱性能が良い3枚構造のガラスとなります。これらの複層ガラスは、ガラスとガラスの間に空気層が設けられています。空気層には単純に空気が入っているのではありません。乾燥空気やアルゴンガスが注入され密閉状態をなっています。そのため、仮に1枚のガラスだけが割れたとしても、複層ガラスを交換する為には全てのガラス交換を行う必要があります。
合わせガラスとは?
合わせガラスとは、2枚の単板ガラスで特殊フィルム(PVB=ポリビニルブチラール)を挟み込み加熱、圧着したガラスの事を言います。特殊フィルムの厚さによって、飛散防止ガラスと防犯ガラスに分かれます。フィルムの厚さはmil(ミル)と言う単位で表わされ、1ミル=約0.025mmとなります。
防犯ガラスとして商品化されている商品は、30ミル、60ミル、90ミルのPVBが使用されておりフィルムの厚さが厚くなるほど防犯性は高まります。
同じ様に、2枚のガラスに防音特殊フィルムを挟み込む事によりガラスの振動を吸収し防音性を高めます。
この様に、2枚のガラスに特殊フィルムを挟み込んだ商品の事を合わせガラスといいます。
まとめ
本日は、ガラスの種類と題して、画像付きで説明をいたしました。住宅で使用されるガラスの種類は主に11種類、その中身として、単板ガラス、複層ガラス、合わせガラスに分かれています。また複層ガラス、合わせガラスのガラス構成についても詳しく解説いたしました。強化ガラスと言われるガラスもありますが、学校や施設で使用される機会が多いガラスとなる為、今回は除外しております。強化ガラスについては(防犯ガラスと強化ガラスの違いは何?」疑問に思った時ご覧下さい!)または(網入りガラス、強化ガラスの違いは何?強化ガラスは割れない?)
こちらで詳しく説明していますので参考にご覧頂ければと思います。