高層ビルの窓ガラスが割れて落下してくることを想像したことのある人は多くはないと思いますが、実際に高層ビルから窓ガラスが落下してくる危険性はあるのでしょうか。
また、高層ビルではもちろん窓ガラスが割れて落下しないように対策がされていますが、どのような種類や厚さの窓ガラスが使用されているのでしょうか。
高層ビルに窓ガラスを設置する場合、しっかりとした基準を満たした窓ガラスを選ばないと大事故になってしまうため要注意です。
本記事では、高層ビルの窓ガラスが割れる危険性や種類、厚さなどについて詳しく解説します。
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高層ビルの窓ガラスが割れる危険性はある?
結論から申し上げますと、高層ビルの窓ガラスが割れる可能性は0ではありません。
もちろん、高層ビルの窓ガラスには強度の高いものが使用されているため簡単に割れることはありませんが、窓ガラスの老朽化や大型地震、突風などの自然災害によって割れてしまう可能性がないとは断言できないのです。
そのため、高層ビルに使用されている窓ガラスは耐久性の高さだけではなく、万が一割れてしまった場合に窓ガラスがバラバラになって落下しないように設計されているものなど、工夫がこらされています。
高層ビルの窓ガラスが実際に割れた事件
「本当に高層ビルの窓ガラスが割れることはあるの?」と半信半疑の方もいるかと思いますが、実際に高層ビルの窓ガラスが割れた事件は複数存在しているのです。
例えば、2022年9月6日に岐阜県でビルの2階の窓ガラスが勝手に落下してきてしまい歩道にいた20代女性にケガを負わせてしまったという事件や、2009年に東京都丸の内の三菱ビルでは倍強度の窓ガラスの中に異物が混入しており、異物が膨張したことによって窓ガラスが落下してしまうという事故などの例があります。
このように、高層ビルの窓ガラスは一般的な窓ガラスよりも強度の高い製品が使用されていることがほとんどですが、それでもガラスである以上割れてしまう恐れがあるため、その確率を限りなく0に近づけるためにしっかりとした窓ガラスを選ぶ必要があるのです。
高層ビルの窓ガラスに使用されている種類
一般的な高層ビルの窓ガラスには「倍強度ガラス」という種類の窓ガラスが使用されています。
倍強度ガラスとは、特殊な熱処理によって窓ガラスの内側に圧縮応力をはたらかせて強度を高めたガラスです。
一般的な強度ガラスは割れてしまうと粉々に割れてしまうこともありますが、倍強化ガラスは強化ガラスよりもさらに応力を抑えることで割れてしまっても粉々にならないように加工されています。
そのため、強度の面だけでいえば倍強化ガラスよりも強化ガラスのほうが丈夫なのですが、高層ビルで窓ガラスが粉々に割れてしまうと甚大な被害を及ぼす可能性があるため、多少強度が低くても倍強化ガラスが使用されているのです。
また、倍強化ガラスの強度をさらに高めたい場合には、フィルムを貼ることや合わせ加工をすることで、倍強化ガラスであってもさらに強度を高めることもできます。
近年はペアガラス(複層ガラス)が使用されるケースも増えている
近年建てられた高層ビルにおいては、倍強化ガラスではなくペアガラス(複層ガラス)が使用されるケースも増えています。
ペアガラス(複層ガラス)はその名の通り、窓ガラスを2枚合わせて作られた窓ガラスですが、それぞれの窓ガラスがしっかりとした強度を持っているため、万が一割れてしまっても2枚同時に割れることは極めて稀となります。
また、ガラスに飛散防止フィルムを貼ったり、外側のガラスを合わせガラスにする事で万が一割れてしまっても落下のリスクを軽減する処置がされるケースも多くあります。
ペアガラス(複層ガラス)は防音効果や紫外線カット、断熱効果も高いため、高層ビルに向いている窓ガラスといえます。
高層ビルの窓ガラスの厚さ
高層ビルの窓ガラスの厚さは耐風圧などを考慮して決定されます。
一般的な高層ビルでは5m〜10mほどの窓ガラスを使用する場合もありますが、耐風圧を考慮して12mほどの窓ガラスを使用する場合もあります。
つまり、高層ビルの低層階は風圧による影響が少ないため、風圧の影響がそれほど高くない薄めの窓ガラスでも問題ありませんが高層階に行くにつれて風圧の影響を受けやすくなるため、厚いガラスにする必要があるのです。
建設省告示1458号適用では、高さ13m以上の建物については耐風圧が定められており、以下の計算式で確認することができます。
風圧力計算式 風圧力:P (N/m2) P=qC (N/m2) イ)q:速度圧(N/m2) q=9.8×60√h <沖縄県は q=9.8×90√h> h:風圧力を計算する部分の地盤面からの高さ(m) ロ)C:風力係数 ・閉鎖形の建築物(ビル、住宅) 風上側: +0.8 風下側: -0.4 但し、高さ31mを超える建築物の、31mを超える部分の構造 耐力上影響を受ける1階の部分の風力係数は、旧法の告示 第109号による。 開放形の建築物 ±1.2 (出典:日本サッシ協会「建設省告示第1458号適用除外部分の風圧力基準設定について) |
とはいえ、耐風圧計算を自分で行ってミスがあってはいけないため、専門業者に計算を依頼する方法や、日本板硝子株式会社が提供している「ガラス選定シミュレーション」などで計算することがおすすめです。
まとめ
本記事では、高層ビルの窓ガラスが割れる危険性や種類、厚さなどについて詳しく解説しました。
高層ビルの窓ガラスが割れて落下してくるのを想像するだけでも恐ろしいですが、実際に高層ビルの窓ガラスが落下した事件の前例はあるため、これから高層ビルの窓ガラスが落下する事件が起こる可能性は0ではありません。
そのため、高層ビルに設置する窓ガラスは割れないようにしっかりと対策するとともに、種類ごとの特徴を理解することは非常に大切です。
ぜひ本記事を参考にして高層ビルの窓ガラスの種類や厚さ、割れる危険性についてチェックしてみてください。