住宅や学校、病院などの窓、車、食器など、日常生活のあらゆるところでガラスが使われています。
身近な素材の一つですが、素材や作り方を知らない方も多いでしょう。
そこで今回はガラスの素材や作り方、リサイクルできるのかについて解説します。
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ガラスの素材
ガラスは以下の3つが主な原料です。
- 珪砂
- ソーダ灰
- 石灰石
これらの原料に、色を付けたり、強度を高めるための素材を加えています。では、主な原料である3つの素材について詳しく見ていきましょう。
珪砂(けいしゃ)
珪砂とは、二酸化炭素を含む石英(せきえい)という素材を砕いてできたものです。石英自体は珍しいものではなく、学校や公園の砂場にある砂にも含まれています。
砂をよく見てみると、透明できらきらと光るものが混ざっていることがあり、これが珪砂と言われるものです。
ソーダ灰
ソーダ灰は、炭酸ソーダ(ナトリウム炭酸、化学式:Na2CO3)のことであり、灰という名前が付いているとおり、草木を燃やしてできた灰のことを指します。
ガラスは原料を高温で溶かし、それを冷却してガラスを形成します。なかでもソーダ灰は、ガラスの融点を下げる役割を持ち、またガラスの成型や加工を容易にするためにも利用されていることが特徴です。
石灰石
石灰石は、主にカルシウムカーボネート(化学式:CaCO3)からなる鉱石です。
ガラスのほかチョークなどに使用されており、日本では全国200か所以上の鉱山で採掘できます。
石灰石は水や湿気による腐食を防止できるため、ガラスの耐久性を向上させる役割を担っています。また、石灰石はガラスのほかにも、セメントや土壌のpH調整材、食品添加物、医薬品など、さまざまな用途で利用されているのが特徴です。
基本的なガラスの作り方
ガラスは「珪砂」「ソーダ灰」「石灰石」の3つを原料としており、この原料を1,500~1,600度の釜の中で溶かし、それを引き伸ばして作ります。
ただ、基本的なガラスの作り方は同じでも、いくつか製造方法があるため、違いを見ていきましょう。
手吹きガラス
釜の中でドロドロに溶かした原料を円筒の先につけ、円筒に息を吐いてガラスを膨らませてガラス製品を作る方法を「手吹きガラス」と言います。
紀元前1世紀の古代に発明された伝統的なガラスの製造方法であり、テレビや工房などで手吹きガラスで製品が作られている様子を見たことがある方も多いでしょう。手吹きガラスはその日の気温や湿度、息の吹き込み方などで形状が変わるため、一つとして同じ作品にならないことが魅力です。
ただし、こちらの製造方法では大量生産ができないめ、工業用の製品ではなく、アクセサリーやガラスなどの伝統工芸品を作るときに多く用いられています。
フロート法
フロート法は、住宅やビルの窓ガラス、テレビやタブレットの液晶ディスプレイ、自動車の窓ガラスなど、板ガラスを大量生産するときに適した製造方法です。
大きな槽のなかに錫という金属を溶かし、そこに熱した状態のガラスの原料を入れます。すると、ガラスの原料が錫のうえで平らに広がり、少しずつ温度が下がる過程でガラスを薄く延ばして板ガラスを作ります。
ロールアウト法
ロールアウト法も工業用の板ガラスを生産するときに用いられる方法です。
熱したガラスの素を2本のロールで上下に挟み、引き伸ばして板状のガラスを形成する方法です。こちらの方法では、金属の網を入れたロールを使用することで、網入りガラスなども製造できます。
このように、ひとえにガラスといってもさまざまな作り方があり、用途や必要な量に応じて作り方が異なります。
ガラスはリサイクルできる?
ガラス製品は自然素材を組み合わせてできているため、プラスチック製品などと比較して環境に優しいイメージを持っている方もいるでしょう。
実際に、ガラスは細かく砕いて再利用する、もしくはそのままの状態で再利用できます。
では、ガラスのリサイクルの流れやメリットを見ていきましょう。
ガラスをリサイクルする流れ
ここでは、ガラス瓶のリサイクルの流れを解説します。ガラス瓶は「リターナブル瓶」と「ワンウェイ瓶」の2種類にわけられ、どちらの種類かによってリサイクルの流れが異なります。
リターナブル瓶
リターナブル瓶とは、ガラス瓶そのものの形で再利用できることが特徴です。ビール瓶や一升瓶、牛乳瓶などがリターナブル瓶に分類されます。
リターナブル瓶は市町村などの分別回収や酒屋などで回収された後、「瓶商」に引き取られます。瓶商で洗浄・分類が行われ、再び飲み物メーカーや日本酒メーカー、醤油メーカー、牛乳メーカーに納品されます。
その後、各メーカーがリターナブル瓶の中に商品を瓶詰めし、再び出荷されて顧客の元に届けられます。
ワンウェイ瓶
ワンウェイ瓶は、瓶を砕いてカレットという状態にして、再利用されることが特徴です。
ワンウェイ瓶は市町村などの分別回収や酒屋などで回収された後、「カレット業者」に引き取られます。カレット業者で洗浄・異物撤去が行われた後、粉々に砕かれてカレットという形状になります。
その後、カレットを必要とする業者に引き渡され、再び瓶として使われたり、アスファルトや建築用断熱材のグラスウールに使われたりするのが基本の流れです。
ガラスをリサイクルすることで得られる環境的メリット
ガラスの種類によってリサイクルの流れが異なるものの、リサイクルすることで、さまざまな環境的メリットが得られます。
たとえば、ガラスの原料はすべて天然素材であるため、ガラスを再利用することで天然素材を守ることにつながります。また、新しいガラスを作るときにCO2が排出されますが、再利用することでCO2に排出量を軽減できます。
そのほか、ゴミとなるガラスを減らすことで、逼迫している埋立地の延命化にもつながるでしょう。
まとめ
今回は、ガラスの素材や作り方、リサイクルの流れなどを解説しました。
ガラス製品は日常生活にあふれていますが、素材や作り方について知らない方も多いでしょう。また、リサイクルの流れを把握しておくことで、家庭でゴミとして排出するときの分別意識の高まりにもつながります。
ぜひ今回の記事を参考に、身近な素材であるガラスについて調べてみてください。