築40年の木製引き戸に起きていた「重い」「ゴロゴロ音」「擦れる」「スキマが出る」
今回ご紹介するのは、北九州市八幡東区で築40年ほどの住宅での引き戸改修工事。
長年使い続けてこられた建具に、次のようなお悩みがありました。
毎日使う引き戸だからこそ、少しずつ溜まっていくストレス。
家族の生活導線に直結するだけに、「何とかしたい」というお気持ちはとてもよく分かります。
経年の木製建具では、枠材の収縮や歪みの他、戸車の摩耗、レールの変形が発生し、これらが複合的に進行しすることで「重い・音が出る・擦れる」といった症状として現れるのです。
今回もまさにその典型例でした。
V溝レール&V型戸車への交換はお客様のご要望
今回の工事で印象的だったのは、お施主様が事前にYouTubeで情報収集されていたことでした。
V溝レールとV型戸車の仕様にしたいという明確なご希望をお持ちでした
もともとは、昔ながらの「甲丸レールと丸形戸車」という組み合わせ(下記、イラスト)

こちらをV溝レール+V型戸車へとアップグレードする方針に。(下記、イラスト)

私たちはまず、施工後にどのような動きを実現したいかを丁寧にヒアリングし、そのうえで納まり・耐久性・加工の難易度を総合的に判断しました。
お客様の希望を尊重しながらも、プロとして最適解を導く、その姿勢を大切にしつつ、仕様を最終決定していきました。
なぜV溝×V型戸車は軽くて静かなのか?
少し専門的なお話ですが、昔ながらの甲丸レール(写真左)+丸戸車(写真右)には以下の様なデメリットがあります。


一方、今回取替えたV溝レール(写真左)+V型戸車 (写真右)は接点が線状になり抵抗がすくない、溝を正確に捉え、直線性が高いというメリットがあります。


これは結果として、
という“体感性能の改善”につながります。
さらに、
という点でも、築年数の古い建具との相性が良好です。
古いレール木部ゆえの難しさ・・・「固い木」を相手にした職人加工
施工で苦労したのは、建具枠の木部が非常に固かったこと。築年数が経つほど木は締まり、硬度が増していきます。
今回は、ノミ、カンナを用い、溝の間を一本ずつ削り調整。V溝レールをしっかりかぶせられるよう、 丁寧に加工していきました。


単純に部材を交換するのではなく、建具の癖・収まり・歪みを読み取りながら“その家の寸法に合わせて削る”ということをやりました。
まさに職人の手仕事が求められる工程です。さらに同時に、他箇所の建具も
といった複数箇所の改善工事を実施。家全体の使い勝手が滑らかになるよう、トータルで整えていきました。
引き戸戸車及びレールの施工前と施工後
動画サクッと施工内容を確認できます👇
重い・音が出る・擦れる「少し我慢して使っている」状態
- 押すように力を入れないと動かない
- ゴロゴロとした振動が伝わる
- 途中で引っかかる
- スキマが目立ち、見た目も気になる

「壊れてはいないから、まだ使えてしまう」それは、我慢しながら使い続けてしまう場所でもあります。
スイスイ動くようになった快適さと安心感

施工後、お施主様からは「スイスイ動くようになった」という、率直な喜びの声をいただきました。
体感的な変化は、毎日の暮らしにそのまま直結します。
古くなった建具は交換するしかないと思われがちですが、状態を正しく診断することで、直して長く使うという選択肢も生まれます。
施工会社として大切にしている【現場判断】と【寄り添い】
今回の工事は、施主様のご希望仕様や既存建具の強度・年数、そして今後のメンテナンス性、これらを総合的に踏まえた技術判断の積み重ねでした。
動画やネットの情報はとても参考になります。しかし、同じ構造・同じ寸法の住宅は一つもありません。
だからこそ私たちは、その家にとって最適かどうかを現場で見極めながら、納まりと耐久性を両立させていきます。
【Q&A】戸車の不具合を放置するとどうなる?
お客様から戸車の不具合を放置するとどうなるの?と聞かれる事があります。専門家の回答は以下の通りです。
A:引き戸が、重い、傾いて走る、ゴロゴロ音が出るこの状態を使い続けると、
➡レールが削れる
➡下端が擦り切れる
➡枠材が変形する
結果として、修理では済まなくなり、建具交換が必要になる、というケースも少なくありません。
次の症状は点検のサインです。
早めの整備ほど、建具は長持ちします。
まとめ:古い引き戸を“活かして直す”という価値
築40年の建具でも、適切に手を入れることで
「もう一度、気持ちよく使える引き戸へ」よみがえらせることができます。交換ではなく、想い出の詰まった建具を整えて使い続ける、それは“家と共に歩んできた時間を残す選択”でもあります。
引き戸の重さ・異音・擦れ・スキマ等でお困りの方は、是非一度ご相談ください。現地を拝見し、最適な方法をご提案いたします。

