台風のニュースを見るたび、出窓のガラスが割れないか心配になるる方や、防犯のためにシャッターを付けたいけど、他社で『出窓には付きません』と断られたと仰る方に向けた記事です。
おしゃれで部屋を広く見せてくれる出窓ですが、いざ防災・防犯を考えた時、その特殊な形状がネックとなり、対策を諦めてしまう方が非常に多いです。
しかし、サッシ屋の視点から言えば、諦めるのはまだ早いです。 確かに普通の窓より難易度は高いですが、実は施工条件さえ合えば、YKK APなどの純正シャッターを後付けすることは可能です。さらに、外側が無理でも「室内側」にシャッターを付けるという解決策もあります。
この記事では、多くの業者が面倒だからと提案しない、出窓を守るための5つの具体的な選択肢について、プロの知見を交えて徹底解説します。
出窓にシャッターを後付けする「5つの選択肢」とは
まず結論からお伝えします。出窓の対策には、大きく分けて以下の5つの方法があります。
- 外付け標準シャッター(条件付きで設置可能)
- 外付けブラインドシャッター(機能性・採光重視)
- 室内シャッター(外が無理な場合の切り札)
- 防災安全合わせガラスへの交換(見た目を変えない)
- 内窓(二重窓)の設置(断熱と飛散防止)
それぞれの特徴と、取り付け可能な条件について詳しく見ていきましょう。
【選択肢①】外付けシャッター(YKK APなど)を後付けする

「出窓にはシャッターが付かない」というのは、一昔前の話か、あるいは施工技術のない業者の言い訳です。 YKK APなどの大手メーカーは、リフォーム需要に応えるため、出窓にも対応できる部材を用意しています。
取り付け可能な条件は「出幅200mm程度」まで
すべての出窓に付くわけではありません。ポイントは出幅(ではば)です。 壁から窓がどれくらい飛び出しているか、という寸法です。
- 出幅が少ない(約200mm以内): YKK APの「マドリモ シャッター」などで、ふかし枠(持ち出し枠)という部材を使えば、シャッターのレールを壁から浮かせて取り付けることが可能です。
- 出幅が大きい(300mm以上): 一般的な深い出窓の場合、シャッターを支える強度が保てないため、メーカー純正品での対応は難しくなります。
- 形状: 「角型出窓(四角い形)」は比較的対応しやすいですが、「台形出窓」や「ボウウインドウ(弓形)」は、外壁にシャッターボックスを取り付けるスペース(平らな面)が必要になるため、設置ハードルは高くなります。
まずはご自宅の出窓が「あまり飛び出していない四角いタイプ」であれば、外付けシャッターが付く可能性は十分にあります。
【選択肢②】満足度No.1!「ブラインドシャッター」という贅沢
もし、条件①をクリアして外付けシャッターが付くなら、ぜひ検討していただきたいのがブラインドシャッターです。
シャッターとしての強度が確保されているとはいえませんが飛来物からガラスを守ったりプライバシー保護には効果が期待できます。
光と風を通す、次世代のシャッター
出窓の最大の魅力は「光が入ること」や「観葉植物などを置けること」ではないでしょうか。 普通の金属シャッターを閉めてしまうと、その魅力が失われ、部屋が真っ暗になってしまいます。
ブラインドシャッター(例:オイレスECOなど)なら、シャッターを閉めたまま、ブラインドのように羽(スラット)の角度を自由に調整できます。
- 台風の時: 羽を全閉して、ガッチリ窓を守る。
- 天気の良い日: 羽の角度を変えて、直射日光を遮りつつ、心地よい風と光を室内に採り入れる。
- 防犯: 中の様子を見せずに、換気ができる。
費用は通常のシャッターより高くなりますが、「出窓の良さを殺さずに守る」という意味で、最も満足度の高い選択肢です。
【選択肢③】外が無理なら中で守る「室内シャッター(内窓シャッター)」

「うちは出窓の奥行きが深いから無理だと言われた」 「2階の出窓で、足場を組まないと工事できないと言われた」
そんな方にプロが提案するのが、室内シャッター(インナーシャッター)です。 文字通り、部屋の内側(窓の手前)に取り付けるシャッターです。
マンションや2階の出窓に最適
この方法の最大のメリットは、外壁の状況に関係なく取り付けられることです。
- 工事が簡単: 部屋の中から取り付けるので、2階や3階でも高所作業車や足場が不要です。
- 強度は十分: 「マドモア(文化シヤッター)」などの製品は、台風時の飛来物がガラスを割っても、その破片や暴風が室内に入るのを完全に防ぎます。
- 操作性: 手動タイプや電動タイプがあり、カーテン代わりの遮光雨戸としても優秀です。
出窓のカウンター(天板)の手前に設置スペースさえあれば取り付け可能なので、外付けを諦めていた方にとっては、これが最強の「逆転ホームラン」的な解決策になります。
【選択肢④】シャッター不要の最強防御「防災安全合わせガラス」
「シャッターボックスで外観が変わるのは嫌だ」
「予算を抑えつつ、台風対策だけはしっかりやりたい」
そんな方に、サッシ屋が最も推奨するのがガラスの交換です。 今あるサッシの枠はそのままで、ガラスだけを「防災安全合わせガラス」に入れ替える工事です。
見た目を変えずに「透明な盾」を手に入れる
防災安全合わせガラスとは、2枚のガラスの間に非常に強靭な樹脂フィルム(中間膜)を挟み込んだものです。
普通の合わせガラスよりも膜が厚く(30mil〜60mil以上)、台風で屋根瓦や飛来物が激突しても、ガラスはヒビが入るだけで貫通しません。
- 工事が早い: 足場も電気工事も不要。ガラスを入れ替えるだけなので、半日〜1日で終わります。
- 手間いらず: シャッターの開け閉めという動作自体がなくなります。
- 防犯効果: 「打ち破り」に非常に時間がかかるため、空き巣対策としても最強クラスです。
「シャッターを付けなきゃ」と思い込んでいる方が多いですが、目的が「窓を守る」ことなら、この特殊ガラスへの交換が最もスマートな解決策と言えます。
【選択肢⑤】断熱も兼ねるなら「内窓(二重窓)」

最後は、コストパフォーマンスに優れた内窓(二重窓)の設置です。
出窓のカウンター部分(室内側)に、もう一つ新しい窓を取り付けます。
飛散防止と寒さ対策の一石二鳥
内窓の本来の目的は「断熱・防音」ですが、台風対策としても有効です。
万が一、外の出窓ガラスが割れてしまっても、内窓が防波堤となり、強風や雨、ガラス破片が室内へ吹き込むのを防いでくれます。
- ガラス飛散防止: 室内への被害を食い止める「第二の壁」になります。
- 日常の快適さ: 冬の結露や寒さ、夏の暑さを劇的に軽減できます。
- 安価: 他の選択肢に比べて、比較的安価に施工可能です。
「シャッターほどの強度はなくてもいいから、万が一の時の保険と、普段の快適さが欲しい」という方におすすめです。
【費用と特徴の比較表】あなたに合うのはどれ?

ここまで紹介した5つの方法を、費用・施工条件・満足度で比較しました。
ご自宅の出窓の状況と予算に合わせて、ベストな方法を選んでください。
| 対策方法 | 費用目安 | 設置条件 | 防災性能 | こんな人におすすめ |
| ① 外付けシャッター | 20〜30万円〜 | 厳しい(出幅200mm程度まで) | ◎(最強) | 外観を変えてでも物理的にガードしたい人。 |
| ② ブラインドシャッター | 40万円〜 | 厳しい(出幅200mm程度まで) | ◎(最強) | 予算があり、光と風を採り入れながら守りたい人。 |
| ③ 室内シャッター | 15〜25万円 | 緩い(室内スペースがあれば可) | ○(室内を守る) | マンションや2階以上、外付け不可の出窓の人。 |
| ④ 防災安全ガラス交換 | 10〜15万円 | 緩い(ガラスが入れば可) | ◎(貫通しない) | 見た目を変えたくない、シャッター操作が面倒な人。 |
| ⑤ 内窓(二重窓)設置 | 5〜10万円 | 緩い(室内スペースがあれば可) | △(飛散防止) | 寒さ対策も同時にしたい、コスパ重視の人。 |
※費用は窓のサイズや工事内容により変動します。あくまで目安として参考にしてください。
まとめ:まずは「外に付くか」を確認し、ダメなら「中」か「ガラス」を検討せよ
「出窓だから無理」と諦める必要はありません。
プロの視点で見れば、これだけの選択肢があります。
- まずは出幅(飛び出し具合)を測ってみる。
- 出幅が少ないなら、YKK APなどの「外付けシャッター」や「ブラインドシャッター」を検討する。
- 出幅が大きい、または2階以上なら、「室内シャッター」か「防災安全合わせガラス」に切り替える。
ネットの情報だけで自己判断せず、ぜひ地元のサッシ屋や窓リフォーム専門店に相談してみてください。
シャッターを付けたいではなく、台風や防犯の不安を解消したいと伝えれば、あなたの家の出窓にぴったりの工事プランを提案してくれるはずです。

