「団地のお風呂は狭いし、冬は寒い。古いから仕方がない…」 そう諦めて、毎日の入浴を「ただの作業」にしてしまっていませんか?
もしあなたが、築30年以上の団地にお住まい(または購入・所有を検討中)で、お風呂の古さに悩んでいるなら、この記事がその常識を覆すきっかけになるはずです。
住宅業界に身を置くプロとして断言します。 団地のお風呂こそ、リフォームによる「変化の幅」が最も大きい場所です。
- 体育座りでしか入れなかった浴槽が、足を伸ばせる広さに。
- ブルブル震えていた冬場の浴室が、リビングのような暖かさに。
- カビだらけのタイル壁が、サッと拭くだけの清潔なパネルに。
この記事では、団地リフォームの最大の難関である「バランス釜の撤去(浴槽拡張)」の仕組みから、目的別(居住用・賃貸用)の費用相場、そして団地特有の注意点まで、失敗しないための全知識を網羅しました。
実は私も21歳から29歳まで団地住まいで、お風呂が窮屈で、いつもお湯を沸かす時に「ガチャンガチャン」とバランス釜の点火ハンドルを回すのが億劫な記憶も蘇ります。そして、私の専門分野でもある窓やサッシもお風呂のリフォームとは切り離せません。断熱性の高いお風呂にしたいのであれば二重窓や内窓も必須になるからです。そんな観点も交えた記事となります
団地のお風呂はここまで変わる!リフォームで解決できる3つの悩み

団地のお風呂リフォームを検討する方の悩みは、大きく分けて「狭さ」「寒さ」「汚れ(古さ)」の3つに集約されます。
これらは、単に新しい設備に入れ替えるだけでなく、団地の構造を理解した適切な施工を行うことで、劇的に改善することが可能です。一つずつ解説していきましょう。
【広さ】「バランス釜」をなくせば、浴槽は広くなる
団地のお風呂が狭い最大の元凶。それは浴槽の横に鎮座している「バランス釜(風呂釜)」です。
「ガチャン、ガチャン」とハンドルを回して点火するタイプの古い給湯器ですが、こいつが浴室内の貴重なスペース(約30cm幅)を占領しているため、その分だけ浴槽が狭くなっています。 「団地のお風呂=体育座り」という図式は、このバランス釜のせいです。
解決策:壁貫通型給湯器(ホールインワン)への交換
この悩みを解決する魔法のような設備が、「壁貫通型給湯器(通称:ホールインワン)」です。
これは、バランス釜が設置されていた壁の穴(排気口)に、コンパクトな給湯器をすっぽりと埋め込んでしまう技術です。 浴室内に飛び出していた機械が壁の中に収まるため、空いたスペースの分だけ浴槽を広げる(80cm→110cm〜120cm)ことができます。
- Before: 幅80cmの浴槽。大人は膝を抱えて入るのがやっと。
- After: 幅110cm以上の浴槽。足を伸ばしてゆったり浸かれる。
この工事を行うだけで、同じ浴室面積でも「体感的な広さ」は別世界になります。団地リフォームにおいて、最も満足度が高いのがこのポイントです。
【寒さ】コンクリート直貼りの冷気をシャットアウト
「団地のお風呂は、戸建てよりも寒い」 そう感じるのは気のせいではありません。構造的な理由があります。
多くの古い団地のお風呂は、コンクリートの駆体(くたい)に直接タイルを貼っている「在来工法」で作られています。コンクリートは熱を伝えやすく、外気の影響をダイレクトに受けるため、冬場は浴室全体が巨大な氷の箱のようになってしまうのです。
解決策:ユニットバス+断熱の「二重構造」化
リフォームで「ユニットバス」を導入することは、単にきれいにするだけでなく、「断熱」の観点で非常に大きな意味があります。
- 空気の層を作る: コンクリートの壁とユニットバスの壁の間に隙間(空気層)が生まれ、直接的な冷気を遮断します。
- 断熱材で包む: 最新の団地用ユニットバスは、浴槽だけでなく、床や壁パネルの裏側にも保温材が入っています。
- 窓の断熱(重要): 浴室に窓がある団地の場合、ここから熱が逃げます。「内窓(二重窓)」を取り付けることで、魔法瓶のような保温性を実現できます。
ヒートショック事故を防ぐためにも、団地リフォームでは「見た目」以上に「寒さ対策」を優先すべきです。
【清潔感】タイル目地のカビとの決別
古い団地の浴室につきものなのが、タイルの目地に深く根を張った「黒カビ」です。 換気扇の能力が弱い(または換気扇がなく小窓だけ)ケースも多く、湿気がこもりやすいため、どれだけカビキラーを撒いてもイタチごっこになりがちです。
解決策:乾きやすい床とパネル壁
最新のユニットバスにリフォームすれば、この苦労から解放されます。
- 壁: 目地が少ないツルツルのパネル壁になり、水をかけるだけで汚れが落ちます。
- 床: TOTOの「カラリ床」などに代表される、水はけの良い床材により、翌朝には靴下で入れるほど乾きます。
「掃除の時間が半分以下になった」という声も多く、カビ臭さのない清潔な空間を取り戻すことができます。
団地お風呂リフォームの費用相場と、知っておくべき「3つの壁」

続いては「リフォームしたいけど、いくらかかるか見当もつかない」 そんな方のために、目的別の費用相場を解説します。
重要なのは、「あなたがその団地に住むのか、人に貸すのか」で選ぶべき工事内容が全く異なるということです。無駄な出費を抑えるためにも、自分の目的に合ったプランを確認してください。
【目的別】団地お風呂リフォームの費用相場と工事内容
団地リフォームの費用は、設備のグレードよりも「どこまで解体して作り直すか」で決まります。以下の3つのコースを目安にしてください。
1. 【コスパ重視】賃貸・投資用向け(目安:20〜50万円)
「人に貸すためにきれいにしたい」「予算は掛けたくないが、清潔感は出したい」というオーナー様向けのプランです。
工事内容:ユニットバスには交換しない「再生工法(リメイク)」
- 浴槽や壁を壊さず、特殊なフィルムやパネルを上から貼る。
- 汚れた浴槽を専用塗料でコーティング(塗装)する。
- 床に浴室用シートを貼る。
メリット: 解体工事や廃材処分費がかからないため、圧倒的に安く、工期も2〜3日と早い。
注意点: あくまで「表面のお化粧」です。断熱性能や広さは変わりません。また、バランス釜もそのまま残るケースが多いです。
2. 【標準プラン】バランス釜撤去+ユニットバス交換(目安:80〜120万円)
「中古団地を買って住む」「古くなった自宅を快適にしたい」という実需層向けの、最も一般的なプランです。
工事内容:スケルトンにして新品へ交換
- 既存の浴室をすべて解体・撤去。
- バランス釜を撤去し、壁貫通型給湯器(ホールインワン)へ交換。
- 団地サイズに対応したユニットバス(TOTO、LIXIL、タカラスタンダードなど)を設置。
費用の内訳: 商品代だけでなく、「ガス工事費(給湯器交換)」や「電気工事費」が含まれるため、戸建てのリフォームより割高になる傾向があります。
プロのアドバイス: 団地のサイズに特化した**タカラスタンダードの「広ろ美ろ浴室」**などが人気です。数cm単位でサイズ調整ができるため、デッドスペースを極限まで減らせます。
3. 【こだわりプラン】断熱強化+内窓設置(目安:120万円〜)
「終の棲家として、とにかく快適にしたい」「ヒートショックが怖い」という方向けのフルスペックプランです。
工事内容:標準プラン + 断熱の徹底
- ユニットバスを断熱仕様のハイグレードモデルに変更。
- 浴室の窓に「内窓(二重窓)」を設置し、冷気を完全にシャットアウト。
- 浴室暖房乾燥機の設置(※電気容量のアップが必要な場合あり)。
価値: 費用はかかりますが、冬場の入浴ストレスがゼロになります。健康への投資と割り切れる方には最適です。
知っておかないとトラブルに!団地特有の「3つの壁」

「近所のリフォーム屋に頼んだら『うちではできない』と断られた」 団地リフォームでは、よくある話です。
なぜなら、団地には戸建てや新しいマンションにはない特殊な制約(壁)があるからです。業者選びや予算組みの前に、これらを知っておく必要があります。
もちろん、施主であるあなたが専門家レベルである必要はありませんが、トラブルやリスクになりそうな部分なので知っておいて損はないです。
管理規約と「排水」の壁(スラブ下配管)
一番厄介なのが「スラブ下配管(階下配管)」と呼ばれる構造です。
古い団地(昭和40年代など)では、あなたの家の排水管が、下の階の人の天井裏を通っていることがあります。 この場合、配管を新しくするには「下の階の人の許可を得て、天井を工事させてもらう」という非常にハードルの高い交渉が必要になります(事実上、配管更新が不可能なケースも多いです)。
対策: ユニットバスへの交換は可能でも、排水位置を大きく動かせないため、選べる商品が限られます。必ず「団地慣れしている業者」に現地調査を依頼してください。
梁(はり)・天井高の壁
団地の浴室は、天井にコンクリートの大きな「梁(はり)」が出っ張っていることがよくあります。また、天井高が極端に低いことも多いです。
カタログに載っている一般的なユニットバスは真四角なので、この「梁」に当たって入りません。
対策: 「梁欠け(はりかけ)部材」というオプションが用意されているメーカーの商品を選ぶ必要があります。これを忘れて発注すると、当日現場で「入らない!」という大惨事になります。
騒音と近隣配慮の壁
木造住宅と違い、団地のコンクリートは「音が響きやすい」です。 特に在来浴室(タイル張り)を解体する際は、コンクリートを削るものすごい轟音と振動が、建物全体に響き渡ります。
対策:
管理組合への申請: 工事の2週間〜1ヶ月前までに申請が必要なケースが大半です。事後報告は絶対にNGです。
近隣挨拶: 両隣だけでなく、「上と下」さらに「斜め上下」の住人へ、粗品を持って挨拶に行くのが鉄則です。事前の挨拶があるかないかで、クレームの発生率は天と地ほど変わります。
失敗しない業者の選び方と、団地リフォームで得られる「未来」

ここまで読んで、「よし、リフォームしよう!」と思ったあなた。最後に待っているのが「業者選び」という難関です。
はっきり言います。団地のリフォームは、戸建てのリフォームよりも「経験値」がモノを言います。 経験の浅い業者に頼むと、「工事当日に『やっぱり入りません』と言われた」「追加料金を請求された」といったトラブルが発生するトラブルもしばし耳にします。
そうならないために、見積もり依頼や現地調査の際に、業者をチェックするポイントをお教えします。
失敗しない業者の選び方:プロの力量を見抜く2つの質問
「安さ」だけで選ぶのは危険です。以下のポイントを確認して、信頼できるパートナーを見つけてください。
「この団地での施工実績はありますか?」と聞く
これが最強の質問です。 団地は、同じ建物であれば構造や配管のクセが似ています。 「ああ、◯◯団地ですね。あそこは配管が特殊なんですよね」と即答できる業者なら、安心して任せられます。
逆に、「団地も…まあ、やったことはありますけど…」と言葉を濁すようなら、その業者は避けたほうが無難です。団地特有のトラブル(スラブ下配管や梁欠け)を甘く見ている可能性があります。
現地調査で「どこを見ているか」観察する
見積もりのために業者が家に来た時、彼らの動きを見てください。
- ダメな業者: メジャーで浴室の「内寸(今の広さ)」だけを測って帰る。
- デキる業者: 天井裏の点検口を開けて「梁(はり)」や「ダクト」を確認する。外に出て「給湯器の排気位置」を確認する。
団地リフォームの成否は、**「見えない部分(配管・梁)」**をいかに予測できるかにかかっています。浴室の中だけを見て見積もりを出す業者は、後から「想定外でした」と言い訳をする可能性が高いです。
まとめ:団地のお風呂は「資産価値」を上げる重要ポイント
長くなりましたが、団地のお風呂リフォームについて解説してきました。
団地は「古くて不便」というイメージがありますが、水回りを最新にするだけで、その資産価値と居住満足度は劇的に跳ね上がります。
特に、コンクリートに守られた団地は、内側さえリノベーションすれば、新築マンションにも負けない快適な住まいになります。 「今日のお風呂、最高だったな」 そう思える毎日を手に入れるために、まずは信頼できる業者に現地調査を依頼することから始めてみてください。
あなたの団地暮らしが、もっと温かく、快適になることを応援しています。
